「GIS(地理情報システム)を用いた建築・都市・地域環境計画の可能性を話し合う。企画 ― 情報社会デザイン小委員会」で、実は、華やかなオープニングシンポジウムが午後で、このシンポはその前の午前中に地味に始まった。
私も、GISなんぞは、関係ない領域と思っていたのであるが、これを聞いて、もっと身近なツールのようにも思えてきた。
発表は、以下の先生方であった。
GISの原理やら、いろいろな測定データがあり、利用できるらしい。
グーグルアースがあれば十分と、勝手に思い込んでいたのであるが、世の中、そうでもないらしい。
もう少し、身近なツールとして、利用できるかもしれない?という感触を持った。
- 佐藤圭輔(立命館大学)先生
- GISを利用したダイオキシン類動態モデルと生命環境モデルへの展開
ダイオキシンの拡散を、大気モデル(ADMER)で分析し、流域モデル(BASINS-HSPF)で、ダイオキシンが、河川の水の流れで、どのように流出・蓄積されて行くかの研究らしい。うーん、建築とはあまり関係ない!と思っていたのであるが、しかーし、上の二つのモデルがフリーモデルらしいことを聞いて、ぶったまげた。
ちなみにいま検索してみたら、
大気モデル(ADMER)流域モデル(BASINS-HSPF)むむー、本当にフリーソフトではないか。フリーソフトを駆使したら、いろんなことが出来るかもしれない。
- 山田悟史(立命館大学)先生
- 環境認知よりとらえた生命環境モデルの構築に向けて
先生のは、ちょいと難しすぎた。結果は、ケビン・リンチから脈々と続く、都市空間の認識の結果と同じようにも思える。ただ、分析方法が、主観的要素が少なく、より、科学的・客観的・数理的方法だと思うのですが・・・。CGIとフラクタル次元解析を使って、とのことで・・フラクタル次元解析と聞いて、頭が吹っ飛びました。フラクタル次元解析の簡単なフリーソフトがあったらなー・・せめて。
- 清水英範(東京大学)先生
- 空間情報学を利用した国土や都市の歴史研究-江戸の都市景観の再現研究を例として-
なじみやすい、お話でした。広重や北斎の描いた浮世絵に描かれた、富士山とお城が良く見えた日本橋からの景観。これが、本当なのかというお話。江戸の町の構造を紹介するときに、このような浮世絵の空間を「正しい」と疑わず、ビスタを意識した江戸の都市空間のなどとよく論じられて来た。でも、よく考えてみれば、浮世絵は、相当にデフォルメされているはずで・・。それで、それを考え直そうという話。地図は、江戸の大名屋敷を書き込んだ詳細な地図がある。しかし、測量(方位・距離)は、正確ではないはずで、江戸の地図を明治の陸軍陸地測量部の地図と、CGIによる平面高さの調整により、江戸の町を再現して見るという話。当時は、すでに天守は消失してないから、台所前三重櫓が見えていたのは、北斎では合っていたようだ。広重の櫓と江戸城の高さ関係は、ちょっと違うようだ。また、肝心の富士山は、どうも日本橋から堀の正面近くには見えなかったようだ。左手の蔵群の見えたらしい。ということで、浮世絵をそのまま信じてはいけないらしい。
しかし、考えた見れば、写真もなかった時代、人が町の中を、動いて、つまり視線を断続的に移動しながら見たイメージが、都市、そのもののイメージなのであろう。それをそのまま1枚の紙に表現すると、こうなった、ってことかもしれない。ある意味、こっちが正しいかもね。
いまは、写真で切り取られた断面を見て、なんとなくそれが正しいと思ってします。たとえそれを見ていなくとも。しかし、人の視線は断続的に動き、イメージが生成されるわけだから、それを考慮しなければならない。そこに、3Dで都市を考える可能性が開けるかもしれない。
ついでにGISが身近に感じられたので、基本的か関連サイトを調べたので、メモしておきます。フリーソフトもあるんですね。
GSIポータルサイト(基本情報のチェックに便利そう)
フリーのGISソフトQGIS(Quantum GIS)を試してみる(フリーソフト)
数値地図対応ソフト一覧(フリーソフト)
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