朝日新聞2011/12/24ピニオンで、旭テック会長入交昭一郎さんのインタビューに気になった部分があった。
-日本の製造業はどう変っていくべきですか。
という質問に、
「五つの選択肢のどれかを選ばなければならないでしょう。
- ある分野に特化して、国内で徹底的にお客さんに奉仕してある顧客を放さない。...京都のお茶屋さんのような堅実なビジネスです。
- 国内で狭い分野に特化すると同時に高い技術力でグローバルな競争力を持つ。...小金井精機という会社が典型で、F1のエンジンの特殊な部品の高精度で仕上る技術があるので、海外からどんどん注文が来る。
- 一番、典型的なもの。国内に製造拠点は残しながら、培った技術を持って海外へ出てビジネスを広げてゆく。...旭テックはこれです。
- ユニクロのように、国内はマーケティングや開発に特化し、生産は全て海外でやる。...これはこれで大変です。
- 世界のどこにもない新しいものを作り出す。...これは天才が出てこないとできない。
どれもやさしいことではありません。どれか一つに決めないと。」
としている。
ウーン、建築設計事務所はどれを選択すればよいのか。
ところで、建築設計事務所は、製造業ではなく、サービス業。それでもあえて取捨選択してみる。
上の1~5で、「海外でやる」とは、工場のことか、とも思うし、建築設計をいきなり海外でやるのも、現実的ではない。それで、3.4.は×。
「5.世界のどこにもない新しいものを作り出す。」理想的ではあるが、コンペティション連戦連敗である。さらに「これは天才が出てこないとできない。」ので、自らが天才ではなさそうなので、明らかに×。
それでは、1.か。「ある分野に特化して、」とは、「3D・BIM設計に」特化して、と読み替えられるが、しかし「国内で徹底的にお客さんに奉仕してある顧客を放さない。京都のお茶屋さんのような」となると、これは、既得の得意先の客をターゲットにしているような。新規獲得が必要な今の私には×。
さすれば、2.。
①「国内で狭い分野に特化する」と同時に②「高い技術力でグローバルな競争力を持つ」。
②「高い技術力でグローバルな競争力を持つ」を「3D・BIM設計」とするならば、
残る①「国内で狭い分野に特化する」をより絞り込む。・・ここがまだ絞りきれていないかも。
建築設計事務所は、製造業ではなく「サービス業」といったが、建設業と強い結びつきをもつ。一方、実際の受注は、発注者という幅広い範疇がある。またその発注者といっても、個人の住宅発注者、、会社・企業。その会社・企業といえどもマンションから様々な製造業まで幅広いジャンルはある。
ここに、私の課題がある。この発注者を今まで幅広く漠然と見ていたように思う。
実は、「幅広く」見ることは、設計者として、建築家としては、非常に重要なことであると思うのであるが、一方、経営的視点では、それが問題点であろう。
「的を絞った経営戦略をせよ!」とはコトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント にも出てそうな言葉であるが、この年頭に、今一度自分に言い聞かせたい。